状況について」で、仙台市は市議会質疑の抜粋として次の見解を披露しています。引用します。
Q.パンダに関する総事業費は,5年間でどの程度を見込んでいるのか。
A.飼育施設の建設内容をはじめ,パンダの飼育や展示方法など,具体的な事業内容について
は関係者とも協議を行い,今後検討していくこととしており,現時点では事業費の積算を行
うまでには至っておりません。今後,事業内容を検討する際の参考として,他の動物園の状
況を調査した結果,パンダ舎等の建設に約3億5千万円を要したほか,いわゆるレンタル料,
国内産の竹などの飼育費用,研究費などの年間経費の合計が1億円ほどとの事例があります。
(中略)
Q.ジャニーズ事務所からの援助がなくなる6年目以降については,どうするのか。
A.他の動物園の例からも,パンダの導入により入園者が増加し,本市においても入園料収入
等は相当額が増加するものと見込まれるので,6年目以降については,基本的に本市の負担
によりパンダの飼育を継続してまいります。(以下略)
(引用ここまで、なお強調は引用者による)
つまり初期費用を除いてもパンダを養うのに毎年約1億円かかり、ジャニーズ事務所からの
支援が終了する6年目からはこの1億円を仙台市が負担する、ということです。引用部分後段
を読む限り、八木山動物公園の入場料収入がパンダ効果で増えるからそれでパンダを養える、
と仙台市は考えているようです。今回のエントリーでは果たしてそれが現実的なのかどうかを
考えます。
そもそも八木山動物公園の現状はどうなのか、と仙台市のwebサイトを漁ってみました。
その結果2008(平成20)年のデータを見つけました。「1沿革と施設の概要」(pdfファイル)
パンダ誘致問題を考えるに当たって必要になりそうなデータだけを表にまとめてみました。
このデータを見て、筆者はちょっとしたショックを受けました。何に驚いたか。それは
「入園料を払っているのは全入場者の6割強に過ぎない」
ということです。もちろん動物園には娯楽・レジャーの場としての機能の他に、市民に動物の
知識を身につけ理解を深めてもらうための教育や、仙台市がジャイアントパンダを連れてくる
目的として謳っている(繁殖)研究といった役割もありますから、割引制度はあって当然です。
筆者の認識が一面的だったということでしょう。ただ、パンダ誘致の議論の際には、増えた
入場者が全て有料入場者であると誤解してしまわないよう、注意しなければなりません。
また入場料収入の実に9割が一般(=高校生以上)個人の入場者によるものです。つまり、
「子どもたちに夢と希望を与えるパンダは、大人の財布の中身で養われる」
というわけです。
それはさておき、2008年には477,353人の入場者があり(有料入場者は297,241人)、それを
基に入場料収入を計算すると106,116,800円となります。パンダが誘致され、入場者が100万人
に増えれば、年間1億円の経費は稼ぎ出せてしまいます
入場者総数の変化による増収分をシミュレートしてみましたので、ご参考にどうぞ。
上のシミュレーションで明白ですが、入場者数が90万人になるともう増収分は1億円を切り、
増収分でパンダを養うのは不可能になってしまうのです。この結果を見ると、市当局の言う
「6年後以降は入場料増収分でパンダを養う」のはほぼ無理
なのが明白です。
さらに(前回のエントリーでも書きましたが)パンダがいる神戸王子動物園では来場者が
徐々に減り、10年経ったらパンダ誘致前の1.4倍になりました。この数字を八木山動物公園に
当てはめると、入場者は66万8千人程度、入場料収入は1億4800万円程度、パンダ誘致による
増収は4200万円程度になります。これでは増収分が年間経費の約半分に止まり、
パンダなどとても養えない、ということになります。
当然不足分は一般会計、つまり仙台市民の暮らしを支える税金からの持ち出しになります。
「ジャイアントパンダが仙台市民を食う」のです。
今回の結論も前回のエントリーと同じなのですが、仙台市当局がこの程度の試算をして
いないはずがありません。赤字になるのを承知の上で、その情報を開示しないのではないか
と強く疑われます。まあ、この種の不利な情報が行政側から自主的に出されることはまずありえませんから、市議会議員諸氏が質問攻めにして、
場合によっては百条委員会でも設置して資料を出させ、市民に訴えて、
仙台市の方針を変えさせなければなりません。
市議会議員の皆さん、責任重大ですぞ。

